SBI・楽天証券で買えるベトナムETF【VNMが買えない方向け】
- 2022.06.03
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なぜ私はVNMを持ち続けるのか——ベトナムETFを新興国枠に組み込んだ理由
新興国株式をポートフォリオに入れたいと思ったとき、まず「どこに賭けるか」という問いが立つ。インド・中国・東南アジア・アフリカ・南米——それぞれ成長ストーリーはあるが、根拠なく分散すれば単なるギャンブルだ。私がベトナム、その中でもVNMを選んだのは、「新興国の中でも、どの軸の成長ストーリーに乗るか」を言語化できたからだ。
私のポートフォリオにおけるVNMの位置づけ
私のポートフォリオは3つの軸——景気・インフレ・通貨——での分散を設計の起点にしている。新興国株式はこのうち景気軸の上昇局面における受益資産として組み込んでいる。
ただし新興国をひとまとめに持つのは設計として粗い。新興国の中にも「成長の質」がある。私が整理した判断軸は以下の3つだ。
- 人口動態:労働力人口が増加し、消費市場が拡大しているか
- 地政学的ポジション:米中対立・サプライチェーン再編の受益側にいるか
- 制度的成熟度:資本市場・法整備が投資に耐えられる水準か
この3軸でスクリーニングしたとき、ベトナムは一貫して上位に残った。
ベトナムをポートフォリオに入れる理由
人口動態:消費が増え続ける構造
ベトナムの人口は約1億人で、中央値年齢は30歳前後だ。人口ボーナス期の真っ只中にあり、労働力人口の増加と中間層の拡大が同時進行している。「人口が増え、所得が上がり、消費が拡大する」という成長の最も単純な構造が、まだ機能している市場である。
地政学:「チャイナプラスワン」の最有力候補
米中対立の長期化により、製造業のサプライチェーンが中国一極から分散している。この流れの中で、中国に隣接しながら政治的に独立しているベトナムは、製造拠点としての流入が最も大きい国の一つだ。Nike・Samsung・Intelをはじめとするグローバル企業の生産移管先としてベトナムは定着しており、この傾向は一時的なトレンドではなく構造的な変化と見ている。
成長余地:まだ「安い」市場
一人当たりGDPはまだ低水準にある。インドやインドネシアと比較しても、成長余地という観点ではベトナムは相対的に初期フェーズに近い。「すでに成長した市場」ではなく「成長の途中にある市場」へのエクスポージャーを取りたい場合、ベトナムは現時点でも有効な選択肢だ。
なぜVNMか——3087(dbx-トラッカーズ-FTSEベトナムETF)との比較
ベトナムETFを調べると、「VNMがSBI・楽天で買えない」という情報にたどり着いた人も多いはずだ。その流れで比較対象として浮上するのが、香港ドル建てのdbx-トラッカーズ-FTSEベトナムETF(3087)だ。
なお、SBI証券・楽天証券でのVNM取り扱いは2025年3月から開始されている。以前は購入できなかった環境も変わっているので、証券口座ごとに最新情報を確認してほしい。
基本スペック比較
| 項目 | VNM | 3087 |
|---|---|---|
| 運用会社 | VanEck(米国) | ドイツ銀行グループ |
| 通貨建て | 米ドル | 香港ドル |
| 連動指数 | FTSEベトナム指数 | FTSEベトナム指数 |
| 構成銘柄数 | 28 | 21 |
| 経費率 | 0.64% | 0.85% |
| 分配金利回り | 0.64% | 0%(全額再投資) |
| 定期買付(SBI・楽天・マネックス) | 可 | 不可 |
※最新情報は各証券会社・運用会社の公式サイトを参照
流動性:VNM一択の差がある
最も大きな差が出るのが出来高だ。VNMの日次出来高は3087の約100倍の水準がある。長期保有を前提にしていても、リバランスや想定外の局面での売却時に、流動性の差はスプレッドとして直接コストになる。「滅多に売らないから関係ない」という考え方もあるが、売りたいときに売れない・売れても大きくスリッページするリスクは構造的に抱えたくない。
経費率と分配金:トータルではVNMが優位
経費率はVNM 0.64%、3087 0.85%とVNMが低い。VNMは年0.64%程度の分配金があり、経費分をほぼ相殺する。3087は分配金なし(全額再投資)のため単純比較はできないが、長期の複利効果も加味するとVNMのコスト優位性は無視できない。
定期買付:これが私にとって最大の差
私のポートフォリオ運用の基本方針は「裁量による実行を排除し、構造で買い続ける設計にする」ことだ。感情や相場の雰囲気で買うタイミングをずらさない。そのために定期買付という仕組みを最大限使う。
3087はSBI・楽天・マネックスいずれも定期買付サービスの対象外だ。VNMは主要3社すべてで定期買付が可能になっている。この1点だけでも、私にとってVNMの選択は揺るがない。「どちらが良いETFか」という問いより「どちらが自動で積み上げられる設計に組み込めるか」という問いの方が、私のポートフォリオ哲学には合っている。
構成銘柄:同指数連動で実質的な差は小さい
両ETFはともにFTSEベトナム指数に連動しており、上位銘柄の顔ぶれはほぼ重なる。
| 順位 | 3087 | 構成比率 | VNM | 構成比率 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | ヴィングループ(不動産) | 13.20% | ヴィングループ(不動産) | 9.33% |
| 2 | ヴィンホームズ(不動産) | 12.56% | ヴィンホームズ(不動産) | 7.62% |
| 3 | ホア・ファット・グループ(鉄鋼) | 11.79% | ホア・ファット・グループ(鉄鋼) | 6.31% |
| 4 | マサン・グループ(食品) | 10.67% | マサン・グループ(食品) | 5.83% |
| 5 | ベトナム・デアリ・プロダクツ(食品) | 7.26% | ノー・バー・ランド(不動産) | 5.79% |
※最新情報は各運用会社のファクトシートを参照
上位5社のうち4社が共通しており、3087の約55%、VNMの約35%を占める。3087の方が上位銘柄への集中度が高く、VNMは28銘柄に広く分散されている分、特定銘柄への集中リスクはわずかに低い。
セクター構成は両ETFとも不動産と生活必需品が大きく、3087で約58%、VNMで約43%を占める。ベトナム市場の現状を素直に反映した構成だ。
結論:VNMを選ぶ3つの理由
- 流動性:出来高が約100倍。リバランス・緊急売却時のスプレッドリスクが構造的に低い
- コスト:経費率0.64%+分配金0.64%で実質コストはほぼゼロ。3087より0.21%優位
- 定期買付:主要3証券で自動積立が可能。裁量を排除した設計に組み込める
保有継続の判断基準——ナラティブが崩れたら手放す
私が保有継続を判断する基準は価格ではなくナラティブだ。「なぜこの資産を持つのか」の前提条件が崩れていないかを毎月確認する。
VNMの場合、保有ナラティブは以下の3点で構成されている。
- ベトナムへの製造業流入(チャイナプラスワン)が継続しているか
- 人口ボーナス期の内需成長が続いているか
- VNM自体の流動性・経費率・運用構造に問題がないか
逆に言えば、この3点が崩れたとき——米中関係の劇的な改善によりサプライチェーン回帰が起きた場合、ベトナム国内の政治リスクが顕在化した場合、あるいはVNM自体に運用上の問題が生じた場合——は比率に関わらず手放す判断をする。現時点ではいずれのナラティブも毀損していない。
現在の保有状況と今後の方針
現時点では目標金額に対して進捗率149%と目標超過の状態にある。
この超過は市場価格の上昇によるものであり、積み立て過多ではない。ただし新興国株式全体のポートフォリオ内では、他の銘柄(インド・中国・インドネシア)に比べて相対的に大きい比率になっている。当面の方針は新規買い付けを停止し、他の進捗率が低い新興国銘柄への充当を優先する。リバランスとしての売却は、ナラティブが崩れていない限り行わない。価格上昇を理由に売ることはしない。
この記事の位置づけ
この記事は以下のシリーズの一部として書いている。
- ポートフォリオ原則(執筆予定):なぜ実物資産を核に置くのか、3軸分散の設計思想
- 資産クラス別保有理由(執筆予定):新興国株式という資産クラスをなぜ持つのか
- 銘柄保有理由(この記事):新興国枠の中でなぜVNMなのか
上位の記事が公開された際はリンクを追加する。
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